就職活動を控えた高校生や、そのご家族の中には、「大学に進まなくても本当に大丈夫なのか?」「土木の仕事って厳しいのでは?」といった不安を抱えている方も多いはずです。特に「高卒で土木業界へ」という選択肢は、身近に前例がなければなおさら勇気のいる決断でしょう。進学と比べて早く社会に出ることで得られる経験や収入の一方で、体力的な負荷やキャリア形成への不安など、気になる点も少なくありません。
ですが、いま土木の世界は、想像よりもずっと開かれた環境になりつつあります。国や自治体によるインフラ整備の継続、そして業界全体の人手不足により、高卒の若手を育てたいという企業の意欲は年々高まっています。実際、未経験から一歩踏み出した若手が、数年で一人前の職人や施工管理者へと成長するケースも少なくありません。
本記事では、「高卒で土木の仕事を選ぶ」ことのメリットとデメリットを、公的な情報と業界の現状をもとに客観的に整理していきます。迷いや不安を少しでも和らげ、納得のいく選択をしてもらえるように、進学と就職の間にあるリアルな境界線を明らかにしていきましょう。
メリット①:学歴不問で「手に職」をつけられる強み
土木業界は、資格や経験よりも「やる気」と「現場での成長力」が重視される世界です。特に高卒者にとっては、社会に出てすぐに仕事を覚え、手に職をつけられることが大きな魅力です。実際、多くの企業では新卒や未経験者を積極的に受け入れており、道具の使い方や作業の基礎から丁寧に教える研修制度を整えているところも増えています。
学歴に関係なく評価されるというのも、大きなポイントです。実力主義の風土が根付いているため、現場で結果を出せば、若いうちから責任あるポジションを任されることも珍しくありません。20代前半でチームをまとめるリーダーとして活躍する先輩も多く、働きながら成長していける環境があります。
さらに、資格取得を支援する会社も増えており、土木施工管理技士などの国家資格を取得すれば、将来的には管理職や独立といったキャリアの広がりも期待できます。大学に進まずとも、実務経験とスキルを武器に、自らの道を切り拓いていける業界なのです。
また、学費の負担がないことも、就職のメリットとして見逃せません。早期に収入を得られることで、家計を支えたり、自立の準備を進めたりと、経済的な安心感を得られる面もあります。進学と就職、どちらが正解ということはありませんが、「今すぐに働きたい」「地元で腰を据えて暮らしたい」という人にとって、土木業界は選択肢として十分に検討する価値があると言えるでしょう。
メリット②:20代で年収400万も?早期収入の魅力とは
大学進学と比べたとき、高卒就職の最大の利点のひとつが「収入を早く得られること」です。特に土木業界は、他業種と比べて初任給が高めに設定されている傾向があり、1年目から月給20万円以上を得ることも珍しくありません。賞与や各種手当、時間外手当などを含めれば、20代半ばで年収400万円を超えるケースも十分にあります。
実際に、地元密着型の中小企業であっても、安定した公共工事を手がけることで年間を通じて仕事が途切れず、安定した収入を得やすい環境が整っています。大卒で就職した場合と比べ、4年間の差で得られる収入は約800万円〜1,000万円にもなり、早期に経済的な自立を目指す若者にとっては、大きなアドバンテージになります。
また、資格手当や現場手当、住宅手当など、福利厚生を手厚くしている企業も増えており、給与以外の面からも生活を支える仕組みが整ってきています。特に人手不足が進むいま、企業は若手人材の確保と定着を重視しており、待遇改善に積極的な傾向にあります。
ただし、収入が高いからといって楽な仕事というわけではありません。体力的な負荷や天候による影響、繁忙期の長時間労働といった課題もあります。だからこそ、自分にとっての「働きやすさ」や「続けられる環境」が整っているかを見極めることが大切です。
収入面のメリットは確かに大きいですが、それ以上に「若いうちから社会で役に立つ実感を得られる」「家族や将来のためにお金を貯められる」といった実利の大きさが、土木業界で働く若者の背中を押しています。
デメリット①:体力的な負担と現場環境のリアル
高卒で土木業界に就職するうえで、覚悟しておきたいのが「体力的な負担」と「現場環境の厳しさ」です。実際の仕事は、朝が早く、屋外での作業が中心。夏は猛暑、冬は寒風のなかでも現場は動きます。慣れるまでの間は、体力的にきついと感じることも多く、「こんなに大変だとは思わなかった」とギャップに戸惑う若手も少なくありません。
また、重量物の取り扱いや高所での作業など、危険がともなう場面もあります。現場ではヘルメットや安全帯などの装備はもちろん、ルールに沿った行動が求められます。指導も厳しめになることがあり、「怒られてばかり」と感じる場面があるかもしれません。しかしそれは、命を守るために必要なこと。近年はパワハラ対策や指導方法の見直しも進み、働く環境は少しずつ変わってきています。
もう一つの現実は、「若手が少ない現場が多い」ということ。年齢層の高い職人が多く、10代・20代が少ない会社も珍しくありません。年が離れた先輩たちと働くことに不安を感じる方もいるでしょう。ただ、経験豊富なベテランに学べる機会と捉えれば、これは大きな成長のチャンスにもなります。
土木の仕事は「キツい、汚い、危険」の3Kと揶揄された時代もありました。しかし今は、機械化や作業分担の見直しが進み、昔ほどの過酷さは軽減されています。それでも、体を使う仕事であることに変わりはありません。就職を検討する際には、自分の体力や健康状態、そして「続けられるかどうか」を冷静に見極めることが必要です。
デメリット②:将来のキャリアやスキルアップは限定的?
土木業界に高卒で飛び込む際、多くの人が気にするのが「将来のキャリアにどれだけ広がりがあるのか」という点です。大学に進学した同級生が管理職や専門職としてステップアップしていく中で、自分だけが現場にとどまってしまうのではないか──そんな不安を抱えるのは当然のことです。
確かに、土木の現場では「現場作業=一生職人」というイメージが根強く残っています。しかし、近年ではキャリア形成の幅も少しずつ広がってきました。たとえば、施工管理技士などの国家資格を取得すれば、現場監督としての道が開け、作業の指示や工程管理といったマネジメント業務に進むことが可能です。資格を持っているか否かで、任される仕事の質も年収も大きく変わります。
また、ドローン測量やICT施工といった新しい技術の導入により、デジタル知識や機械操作が求められる現場も増えてきました。若い世代がこれらの分野で力を発揮するチャンスもあり、「手に職+技術+管理能力」を組み合わせることで、自分なりのキャリアを築いていくことができます。
とはいえ、すべての企業がキャリア支援に積極的とは限りません。入社後の教育体制や、資格取得の支援制度があるかどうかは、事前にしっかり確認する必要があります。会社選びは、最初の給与だけでなく、5年後・10年後の自分を見据えた視点が欠かせません。
若いうちから一歩ずつキャリアを積み重ねたい方には、以下のように育成環境や取り組みを開示している企業を選ぶと安心です。
→ https://www.nakayamagumi.com/environment
判断材料に!就職前に確認すべき3つの視点
高卒で土木業界に進むことは、決して「進学できなかったから仕方なく選ぶ道」ではありません。むしろ、社会に早く出て収入を得ながら、経験や資格を積み重ねていけるという点では、大きな可能性を秘めた選択肢です。とはいえ、その道が自分に合っているかどうかを見極めるには、冷静な視点が欠かせません。
まず確認したいのは、その会社が若手育成に本気で取り組んでいるかどうか。制度や雰囲気にあいまいな説明しかない場合は、育成も場当たり的になりがちです。次に、自分がその職場で「続けられるかどうか」を想像してみましょう。労働時間、休日、人間関係──どれも重要な判断材料です。
最後に、自分が「将来どんな働き方をしたいか」を描いてみること。ずっと現場で働き続けるのか、管理職を目指すのか、あるいは独立を視野に入れるのか。そのビジョンに合った環境を選ぶことが、後悔しないキャリア選びにつながります。
具体的な疑問や不安があれば、企業へ直接問い合わせるのも一つの方法です。

