「建設業=きつい・危ない・古臭い」──そんなイメージが、若い世代の就職先としての選択肢から建設業を遠ざけています。実際、厚生労働省の調査によれば、建設業の新卒3年以内の離職率は約4割。業種別でも高い水準となっており、若者が定着しづらい傾向は長年の課題とされています。
一方で、現場では人手不足が深刻化し、経験豊富な技術者の高齢化も進んでいます。いま、業界全体が「若手の育成」と「定着」に本気で取り組まなければ、インフラ維持や災害復旧など、社会の根幹を支える役割が回らなくなる状況に差し掛かっています。
では、なぜ若者がここまで建設業を敬遠するようになったのでしょうか?その背景を紐解きながら、どのような企業が若者に選ばれているのかを探っていくことで、未来を担う人材との向き合い方が見えてきます。
若者が離れる3つの根本理由──給料・文化・将来性
建設業における若手離れには、単なる体力的なきつさだけではなく、いくつかの構造的な要因が絡んでいます。代表的な理由のひとつが、「待遇への不満」です。初任給が他業種に比べて低めに設定されている企業が多く、現場作業に対して割に合わないと感じる若手は少なくありません。
次に挙げられるのが、「昭和的な職場文化」です。上下関係が強く、年功序列が根強く残る現場では、「意見を言いづらい」「無理をしてでもやらなければ」という空気が支配し、現代の価値観とギャップを生む原因となっています。特に、叱責中心の指導や非効率な作業フローは、Z世代の若者にとって大きなストレスとなりやすい部分です。
そして3つ目は、「将来の展望が描きにくい」という点です。資格や経験を積んでも昇給やポジションが約束されていない環境では、数年後を見据えて転職を考えるのは自然な流れとも言えるでしょう。若者が安心して働ける建設業界を目指すには、給与体系やキャリアパスの明示、現場のコミュニケーション改善が不可欠です。
本当に厳しいだけ?現場で見えてきた新しい働き方
従来の「厳しさ」ばかりが強調されてきた建設業界ですが、最近ではその風土にも変化の兆しが見え始めています。たとえば、朝礼や会議での発言を促すようなボトムアップ型の現場づくりや、業務内容に応じた柔軟な労働時間制度の導入など、若手の声を受け止める企業も出てきました。
また、ICT(情報通信技術)の導入も進んでいます。ドローンによる測量、タブレット端末での図面管理、オンラインでの工程会議など、「紙と電話が当たり前」だった現場のあり方が変わりつつあります。こうした変化は、デジタルに慣れた若い世代にとって大きな働きやすさにつながっています。
もちろん、すべての会社が変わっているわけではありません。けれど、「変えようとしている企業」を選ぶ視点を持てば、建設業は決して閉ざされた世界ではなくなります。厳しさの裏にある成長の実感や、社会インフラを支える誇り──それらを実感できる職場は、少しずつですが確実に増えています。
変わり始めた企業も──若手に選ばれる会社の共通点
若者が建設業界に定着するには、「選ばれる企業」になることが不可欠です。では、実際に若手が入社し、長く働き続けている会社には、どんな共通点があるのでしょうか。
第一に挙げられるのが、「明確な育成制度」です。たとえば、入社後の3年間を育成期間と位置づけ、段階的な業務指導や資格取得支援を制度化している企業では、若手が安心して成長を実感できます。何を目指せばよいかがはっきりしているため、「ここで続けていけるかもしれない」という気持ちが生まれるのです。
次に重要なのが、「風通しのよい職場風土」です。厳しい上下関係よりも、チームとして連携できるか、困ったときに助けを求められる空気があるか──そうした環境は、日々の安心感にもつながります。特に今の若者世代は、働きがいだけでなく「働きやすさ」も重視する傾向が強く、これを整えられるかどうかは企業の分かれ目になります。
さらに、給与や待遇だけでなく、「どんな人と働けるか」も大きな要素です。若手にとって、尊敬できる先輩がいる職場は非常に魅力的です。自分の未来像を描ける存在が近くにいることで、不安よりも希望を感じながら仕事に取り組めるようになります。
こうした企業の姿勢は、企業サイトの育成情報や社員紹介ページからもうかがえます。働く環境への取り組みに共感できるか、ぜひ事前に確認してみてください。
→ https://www.nakayamagumi.com/environment
若者目線で見る「建設業」の可能性と未来
一見すると、昔ながらの厳しい世界に見える建設業。でも実際は、変わろうとしている企業が少しずつ増え、若手の感性を大切にする動きも見られるようになっています。そこに気づけるかどうかで、この業界の印象は大きく変わってきます。
今、建設業界では「担い手育成」が最重要課題とされています。つまり、若者に活躍してほしいというニーズは明確に存在しており、入社後の教育・成長環境に投資する企業が増えているのです。ICTの活用や、女性社員の増加、働き方改革など、以前なら考えられなかった変化も次々と導入されています。
もちろん、どこでも理想的な環境が整っているわけではありません。しかし、選ぶ視点さえあれば、自分に合った職場を見つけることは十分可能です。実力主義の世界である建設業は、努力がしっかり評価されるという点でも、若手にとってやりがいのある場所になり得ます。
「もう建設業なんて古い」と決めつけず、一度冷静に業界の今と向き合ってみること。その一歩が、自分の可能性を広げるきっかけになるかもしれません。
働く前に知っておきたい!建設業との上手な向き合い方
進路に迷う高校生や転職希望者にとって、建設業は「気になるけど、少し怖い」存在かもしれません。しかし、必要なのは漠然とした印象ではなく、具体的な情報と自分に合う環境を見極める視点です。
たとえば、どんな働き方がしたいのか、将来どうなりたいのかを先に言語化しておくと、企業選びにブレが出にくくなります。また、ホームページやSNSで会社の雰囲気や制度を事前に調べ、見学や面談で「ここで働く自分」を想像してみることも大切です。
そしてもう一つ。不安を抱えたまま就職するのではなく、「不安を言語化して質問できること」が、ミスマッチを防ぐ一番の方法です。「若手が活躍できる環境ですか?」「資格取得の支援はありますか?」──こうした問いにしっかり答えられる会社こそ、安心して入れる職場と言えるでしょう。
まずは、気になる会社に直接相談してみるところから始めてみてください。